今日はマネジメントをしていくときに絶対に意識するべきポイントの一つに関して深掘りしようと思います。
「失敗は成功の母」という言葉は聞いたことはありますか?
実際にビジネスの現場で、組織や部下が成長するためには絶対に失敗を経験する必要があります。
そのときに絶対に勘違いしてはいけないのが「失敗をさせる」と「失敗を受容する」は全く違うということです。
いままで様々な経営者の方や、個人事業主の方達を見てきて共通しているのが「失敗をさせる」を選んだ人は結局、組織や部下を成長させられることなく終わっていくということです。
なので今このコラムに巡り合ってくれたあなたは、最後まで読んで「失敗を受容する」を自らの意思で選べる方になってもらえたらと思います。
「失敗をさせる」と「失敗を受容する」が何が違うのか
まず「失敗をさせる」とは部下や組織の失敗が見えている状況において、フォローをせずそのまま進行させることによって意図的に失敗を発生させることを指します。
一方、「失敗を受容する」とは、フォローをした上で、どうしても発生する自然な失敗を受け入れ、その失敗から学ぶことを促す姿勢です。これは部下が挑戦することを奨励し、失敗を恐れずに成長する環境を作ります。
「失敗をさせる」の恐ろしさ
「失敗をさせる」を一度でもやるといくつかの悪影響が発生します。
また発生した悪影響が後々大きく波及して、組織を崩壊させる原因にもなり得ます。
以下で、どのような悪影響が発生するのか、少し深掘りしていくので、自身の現状を踏まえながら読み進めて
信頼関係の崩壊
まず一番大きいのが、上司に対する信頼が失われるということです。
特に気をつけなければいけないのが上司が自身の成功体験を表に出している場合です。
この場合はさらに恐ろしく、後から問題点を指摘する為、部下からすると「なんで分かってたなら、先に教えてくれないんだよ。」「どうせ、分からなかったくせに後から言ってるんだろ。」という気持ちになる可能性が高くなります。
たとえあなた自身が、いかにアフターフォローをしっかりして、成長させようと思っていても、部下からしたら実際に失敗しているので「失敗させられた」ということが事実になります。
この状態になると、どうしても猜疑心が生まれ部下からの信頼が失われる結果になってしまいます。
一度失った信頼を取り返すのは非常に大変な作業です。
なので、不要に自ら信頼を損なうような行動を取らないようにしていきましょう。
部下の視点からの不信感
部下は、自分が意図的に失敗させられたと感じると、上司に対する信頼を失います。
特に、上司がその失敗が予見できたのに事前にアドバイスやサポートをしなかった場合、部下は「上司は自分の失敗を見過ごした」と感じるでしょう。
このような状況では、部下は上司を信頼せず、さらに積極的なフィードバックやアドバイスを求めなくなります。
上司の信頼性の低下
上司が部下の失敗を意図的に見過ごしたり、後から「それは予測できた」と指摘することは、上司の信頼性を大きく損ないます。
部下は上司が本当に信頼できるリーダーかどうか疑問を抱くようになります。
これにより、組織全体のモラルが低下し、上司と部下の間に深い溝が生じる可能性があります。
心理的なプレッシャー
失敗への恐怖の増大
部下が失敗を恐れるようになると、新しい挑戦やリスクを取ることを避けるようになります。
これは、失敗した際のペナルティや上司からの批判を避けるためです。
結果として、部下は現状維持を選び、創造性や革新性が損なわれます。
メンタルヘルスへの影響
失敗への恐怖は、部下のメンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。
持続的なストレスや不安は、燃え尽き症候群や仕事へのモチベーション低下につながり、最終的には生産性の低下を招きます。
これにより、組織全体のパフォーマンスも低下します。
成長の停滞
学習機会の喪失
「失敗をさせる」アプローチは、部下が実践的な学びを得る機会を奪います。
部下が積極的に挑戦し、失敗から学ぶことを奨励されない環境では、彼らのスキルアップや成長が停滞します。
これにより、組織の競争力が低下し、長期的な成長が阻害されます。
部下の成長意欲の低下
部下が失敗から学ぶ機会を与えられず、成長意欲が低下することで、組織全体の成長にも悪影響が及びます。
成長意欲の低下は、部下が新しいスキルや知識を習得しようとする動機を削ぎ、結果として組織のイノベーション能力が低下します。
チーム全体への悪影響
チームの士気低下
「失敗をさせる」アプローチが蔓延すると、チーム全体の士気が低下します。
部下たちは失敗することへの恐怖から、チームとしての協力やコミュニケーションが減少し、個々のメンバーが孤立しがちになります。
これにより、チームのパフォーマンスや一体感が損なわれます。
高い離職率
部下が上司に対する信頼を失い、心理的なプレッシャーを感じ続ける環境では、離職率が高まります。
また離職は優秀で状況判断ができる人間から始まる為、時間が経てば経つほど組織は大きな損失を被ります。
また、新たな人材の採用や育成に多大なコストがかかり、組織の持続可能な成長が難しくなります。
もしも、属人性の高いスキルに依存する体制ができていた場合はさらに悲惨な結果がおとづれます。
組織が完全に崩壊し、修復不能な状態になってしまいます。
「失敗をさせる」恐ろしさのまとめ
「失敗をさせる」アプローチは、短期的には部下の対応力を試す手段として有効に見えるかもしれませんが、長期的には組織に深刻な悪影響を及ぼします。
信頼関係の崩壊、心理的なプレッシャーの増大、成長の停滞、チーム全体の士気低下、そして高い離職率など、多くのリスクが存在します。
上司としては、「失敗を受容する」姿勢を持ち、部下の失敗から共に学び成長する環境を作ることが重要です。
これにより、組織全体の成長と持続可能な発展が促進されます。
「失敗を受容する」とどう変わるのか
学習と成長の促進
実践的な知識の獲得
失敗を受容することで、部下は実践的な知識を得ることができます。
さらに事前に上司が落とし穴の指摘や、サポートを事前にきっちりしておくことで、部下から信頼を得ることができます。
その上での失敗である為、成功だけでは得られない貴重な教訓が失敗から得られ、次の挑戦に活かせます。
部下が失敗から何を学び、どのように成長するかを見守り、サポートすることが重要です。
継続的なフィードバック
部下が失敗した際には、その失敗から学ぶための具体的なフィードバックを提供します。
これは、何がうまくいかなかったのか、次にどうすればよいのかを明確にすることで、部下が自己改善のための具体的なステップを理解できるようにします。
このときに気をつけることは、「部下が自発的に改善策を出すのを待つ」ということです。
あくまで部下が自発的に考え、試すことができる環境を作り、上司は上から回答を与えるだけではなく一緒に考える姿勢を取りましょう。
創造性の向上
新しいアイデアの奨励
特に広告業界などの場合は、効率化の観点からすると、以前に当たった広告を分析をすることで一個のクリエイティブを作るのにかかる時間を短くし、より多くの広告を回すことができ、利益を増やすことができます。
しかし、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えることで、部下は新しいアイデアやアプローチを積極的に試すようになります。
これにより、数字だけを追った広告ではなく市場分析や顧客調査を反映し、一般的な数字に合わせた広告ではなく、創造性を十分発揮した素晴らしい広告を打つことができます。
これは広告業界だけではなくどのような業界でも、応用することができ、組織全体の創造性が向上し、革新的な策が生まれやすくなります。
リスクテイクの精神
部下が挑戦することを奨励し、失敗が許容される文化を築くことで、組織はより大胆で革新的な取り組みを行うことができます。
その際に、リスクを可視化し、可視化できていないリスクが発生した時の対応のお手本や、責任の取り方などを見せることが必要になります。
この様な、失敗から学ぶ姿勢は、部下もお手本にし組織全体のリスクテイクの精神を育む基盤となります。
信頼関係の強化
オープンなコミュニケーション
失敗を受容する文化では、部下と上司の間にオープンなコミュニケーションが促進されます。
部下が失敗を報告しやすくなり、その結果として改善策や次のステップについて建設的な議論が可能になります。
サポートと成長
部下が失敗しても、上司がサポートし、次の挑戦に向けて成長を促すことが信頼関係の構築につながります。
上司が部下の成長に真剣に取り組む姿勢を見せることで、部下はより信頼感を持ち、モチベーションが向上します。
「失敗を受容する」ためのマインドセット
失敗は学びの一部
ポジティブな視点の持ち方
失敗をネガティブに捉えるのではなく、学びの一部としてポジティブに捉えることが重要です。
失敗は成長のための貴重な機会であり、それを積極的に受け入れる姿勢が必要です。
ただ、ここで陥りがちなミスが「失敗をさせる」に変わってしまうことです。
物事がうまくいってるときに「失敗」がないと、部下に「失敗」を経験させるために「失敗させる」を選択してしまう上司がいます。
そうならないために、モデルケースを使って研修を行うなどして実際に起きた事例や想定できる事例を活用してみてください。
支援とフィードバック
建設的なフィードバックの提供
失敗した部下に対して、具体的で建設的なフィードバックを提供します。
これは、何がうまくいかなかったのか、次にどうすればよいのかを明確にするためのアドバイスを含みます。
失敗を単なるミスとして見るのではなく、「どのようにすれば改善できるか」「次に活かすための学びは何か」という視点で捉えることで、建設的なフィードバックを提供します。
また、フィードバックを行った際には簡易的なマニュアルとして議題をまとめ、参照できる様にすることで次回以降に活かすことができます。
成長を支援するリソースの提供
部下が成長するために必要なリソースやサポートを提供します。
例えば、追加のトレーニング、メンターシップ、または適切なツールや技術を提供することが考えられます。
この時に、おすすめなのがシミュレーションを用いたディベートになります。
なぜディベートが良いのかというと、議題に対して、肯定と否定の立場を明確に示した上で討論を重ねるからです。
これによってお互いの立場の穴を洗い出すことができて、実際の失敗に対してより深掘りできるので、より綿密な対応策を練ることができる様になります。
オープンディスカッション
失敗についてのオープンな議論
失敗についてオープンに話し合い、改善策を共に考える文化を醸成します。
部下が失敗を共有しやすくなり、その結果としてチーム全体で学び、成長する機会が増えます。
定期的な振り返りセッション
定期的に振り返りセッションを設け、失敗から学んだ教訓をチーム全体で共有します。
これにより、組織全体が失敗から学び、改善し続ける文化が育まれます。
「失敗を受容する」ためのKPIの設定
行動に対するKPI
僕が一つ置いてKPIが「ピッパの法則」をどれだけできたかということです。
「ピッパの法則」は僕が尊敬する経営者であり、日本トップのWEBマーケータである木下勝寿(北の達人コーポレーション代表取締役社長)さんがおしゃっていた、行動を加速するための思考方法です。
僕はこの「ピッパの法則」のみを現在のKPIにしています。
この設定方法は1日を振り返った時に「ピッパの法則」を実施できた割合を思い出して数字化しています。
この数字が100%であれば完璧で、70%を下がると良くない状況であるとしています。
これを常に振り返ることで行動をすることが常習化していきます。
たった一つのKPIを追いかけ振り返ることで思考のOSをアップデートし続け、成果が出続けるように変わっていきます。
KPIを達成するためのロードマップの構築
具体的な行動目標の設定
行動目標を立てる際に一番重要なのが、理念目標と行動目標を決めることです。
理念目標とは何か
理念目標はあなたが成し遂げたい目標です。
行動目標とは何か
行動目標は、理念目標を達成するために行う行動のことです。
この理念目標を行動目標が立てられたら行動目標を要素分解し、一つ一つの行動を全て数字に変換します。
あとはこの数字を達成できる様に行動し、定期的に見直し行うことで理念目標を達成することができます。
まとめ
「失敗を受容する」環境を作り出し、失敗を恐れずに挑戦する文化を育むことが組織全体の成長を促進するために非常に重要です。
失敗を受容する姿勢を持つことで、組織全体の成長を促進し、信頼関係を強化し、創造性を高めることができます。
上司として、部下の失敗を受け入れ、その失敗から共に学び、成長する姿勢を持ちましょう。このような姿勢は、部下の信頼を得るだけでなく、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
失敗は学びの一部と捉え、部下に適切な支援とフィードバックを提供し、オープンディスカッションの文化を育むことで、失敗からの学びを最大限に活用しましょう。
具体的なKPIを設定し、それを達成するためのロードマップを構築することで、部下の成長を計画的にサポートすることができます。
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